ガンは日本人の死去要因第一位であり、その中でも胃がん、大腸がん、肺がんは三大がんというような程ケースの多いがんです。しかしながら胃がんの患者数は下降トレンドにあり、肺がんと大腸がんの患者数は増加トレンドにあるというのが最近の特徴のようです。2011年ならびに2012年のデータによれば、男女合わせたがんの有病率はいずれの年も1位が肺がん、2位が胃がん、3位は大腸がん(直腸がんと結腸がんを合算)となっています。

肺がんのタイプ

タバコが肺がん危険を引き出すっていうのはすでにたくさんの人が知る事実です。また、グローバルな禁煙ブームの方向性を受けて日本でも禁煙スポットが増え、喫煙率は年々縮小しているだと言われています。しかし、肺がん患者はタバコの愛用率が減少しているというのに年々上昇傾向にあり、2000年代からは胃がんを抜いて一番に変化しています。なぜ、これだけ肺がんの患者数が増加してしまったのか?その原因について考えてみました。

肺がんには「扁平上皮がん」と「肺腺がん」という二つのタイプがあるのです。「扁平上皮がん」は喫煙生活で10倍以上に発症危機が上昇する(タバコによる影響力が強い)がんなのに対し、「肺腺がん」の方はタバコによる発症危機が2倍ほどであり、喫煙による影響が少ないがんで通っています。
ここ最近は喫煙習慣率の減少と一緒に、「扁平上皮がん」の有病率はマイナスの気配があるのですが、逆に「肺腺がん」の患者数が拡大しています。

この事からもここ何年かの肺がんの有病率上昇の原因は「肺腺がん」の上昇にあることは明らかです。

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肺腺がんとは

肺腺がんは肺胞という肺の先組織にできるがんです。肺胞とは肺全体を成している組織で、鼻や口からすった空気は肺胞に取り込まれて酸素と二酸化炭素の交換(ガス交換)が行なわれています。
喫煙習慣者がいっぱいいた時代には肺がんと言えば咳き込んだり、痰がちょくちょくからむ、喀血するという考え方が強く、相変わらず肺がんの主たる症状と言えばこういったものが思いつきます。だけどこれは「扁平上皮がん」の主たる症状であり、肺の深部にある末端組織にできる肺胞がんの場合、初期症状ではそうした分かり易い症状はおろか、感知できる症状が殆ど無いでしょう。ある日いきなり血痰(血が混じった痰)が出て衝撃を受けて診療を受けたらすでに症状が関わっていたというケースが多いのです。

詰まるところ、肺腺がんはプロセス性のがんであり、際立った初期症状や様子に当る症状が無いため発見が遅延がちながんということです。早期発見には職場や自治体がやってる定期検診を絶対に受けて、胸部のレントゲンによる診察が必要なだということです。

肺腺がんが見られる原因

ならば、肺腺がんが発生する原因について話していきましょう。ここ何年かの研究では肺腺がんができる3つのポイントとして「喫煙」「女性ホルモン」「大気汚染」が上げられています。この中で「喫煙」は現代社会において見ても驚くほど喫煙率が減少していますし、「扁平上皮がん」ほど喫煙の影響が強い訳ではないので、残りの「女性ホルモン」と「大気汚染」の影響についてもう少し詳しく見ていきましょう。

女性ホルモンと肺腺がん

女性ホルモンにはいろいろな種類があるけど、特に肺腺がんとつながりが深いのが「エストロゲン」という物質だと思われています。エストロゲンはメインに生理や妊娠、あるいは副交感神経(自律神経の回復プログラム)の活性化、高血圧や高脂血症の予防と改善、発毛などに関連が深いホルモンですが、月経期間の長い(初潮から閉経までの期間が長い)女性や、エストロゲンの補充治療(ホルモン療法)を受けた人の中に肺腺がんの発症率が高いというデータが報告されています。

男性の身体の中にもエストロゲンはありますが、女性に比べて濃さは薄く、現在のところこの調査は主に女性を対象として進めているため、女性でエストロゲンの濃度が高い人は肺腺がんの発症危険性が高いとなります。

大気汚染と肺腺がん

わたくしたちが生活していく上で息をするということは非常に貴重なやり方であるのは口にするまでありませんね。けれども、18世紀にイギリスで開始された産業革命以降、全地球的な規模で大気汚染が進んでしまっています。息をするということは空気中に含有される様々な汚染物質も取り込む事になります。発がん性が高い物質として近年PM2.5やメタン、ダイオキシン、SM(浮遊粉塵)などがよく有名ですが、それ以外にも大気汚染物質というのは沢山存在しています。

息でこれに関する大気汚染物質が吸収されると、免疫系の働きによって有害な物質は外に出されるのですが、肺胞では肺胞マクロファージという免疫細胞が活動して大気汚染物質の代謝を行ないます。しかし、肺胞マクロファージが活躍すると副産物として活性酸素が作りだされます。活性酸素そのものも重要な免疫系の一つであり、活用された異物に取り付いて無害化したり、代謝を促すために効果を発揮する物質なのですが、過剰に作成されると健康な細胞までアタックし始めるという厄介者です。

つまり、汚染された大気の中で呼吸をしているとそれだけ有害な物質を肺胞に取り込む事になり、その分肺胞マクロファージが活性化し、相対的に活性酸素が多く作られ、健康な肺胞を攻撃してダメージを受けた肺胞細胞ががん化するという仕組みが出来上がってしまうのです。