2020年の東京五輪・パラリンピックが望む行動のひとつに、受動喫煙に備えての強化が見られる。世間での喫煙ゾーンの減少、レストラン、一般空間の分煙化とかたくさんの動きが見られるなか、物件業界においてもおもろいケースが出て来た。旭化成ホームズが展開する「禁煙マンション」だ。居室箇所を含む住居内かつ、敷地内の喫煙を100パーセント禁止にした賃貸マンションです。そのターゲットや事情、この先の展開などに対して同社にインタビューした。

契約書に「喫煙禁止」の決め事を記載する徹底状況

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2014年11月から開始した「禁煙マンション」は現時点、東京都内で30~40棟。1LDK~2LDKの、シングルもしくは夫妻2人くらしを想定した物件が多くある。禁煙マンションといっても特別な設備があるということはなく、「喫煙をしない」という原理原則のみが共有化されている。

「入居規定が『禁煙をキープする』という理由であって、または特に特殊なことは無いでしょう。また、家賃も既存エリアの市価と違いがありません。入居者は20代から40代のほうが大半で、男女比は半半。特別に女性が多いと言うわけではない状況ですね」(旭化成ホームズ マーケティング本部の高橋浩介氏、以下同)

なお、賃貸借契約を交わす折に行う「重要事項説明」の書類には、「敷地内及び屋内での喫煙を禁止とする。またこれを厳守できない時は借主に対し貸主は何らの催告が要らず、本契約を解除することが出来る」と掲載されている。マンションの管理規約などでシェア部の禁煙を記載しているケースはあるが、貸主・管理側がここまで徹底しているのは見たことのない。もちろん、入居者本人だけでなく、ルームに遊びにきた友だちなどの喫煙もNGだ。

ありそうでなかった考え方。昨今の禁煙狙いのひろがりも重なり合って、健康ブームの入居者には高い評価のよう。さらに、マンションのオーナーに対してもメリットが大きいという。

「たばこを吸う、吸わないで、部屋の壁の汚れは全然差が出るものです。実際のところ、壁紙の黄ばみは経年劣化とも入居者の落ち度とも、いずれにもとれるグレーゾーンなんです。そこで、壁紙の沈み込みのリスクが少なく上手に使用したところでらえる禁煙マンションは、メンテ費用という点でも所持者に喜んで貰えています。また、吸殻のポイ捨てや寝タバコによる火災の心労が減るのも大きいのではないでしょうか。特別な設備の増設やリノベーションを行うわけではなく、規約に書き足すだけでコストもかかりませんからね」

目下のところライバル不在、この先の展開は?

両脇人のタバコの煙やにおいに苦しめられてきた人にとっては、正直申し分のないテーマだろう。かなりの需要が見込みめそうだが、「禁煙マンション」と堂々とうたったマンションを運営しているのは、少なくとも一流法人では旭化成ホームズのみ。果してどうしてなのか?

「実際のところ、集団的な禁煙の動きが見られるのに、ライバルがいないと言うのは予想外ですよね。背景として思われるのは、物件のオーナーさんの意識。たくさんのオーナーさんはやはり、入居者の特性を絞って間口を狭めたくないという思惑が見られるのではないでしょうか」

ただ一方、今では「ペット共生型マンション」や、その他には「ワインファン向けマンション」など、特徴やコンセプトを選択することで、ターゲットに強く訴えかける物件も増加傾向にある。今後、さらにタバコ離れの時流が進行すれば、「禁煙」しばりというコンセプトは、かなりの説得力になりそうだ。

集合住宅で隣人を選択することは不可能です。ただ、『禁煙』『女性専用』など入居者の特性を指定すると、それなりの信頼性は担保されると思いますよね。例えば女性限定マンションに住む方に入居の理由を聞くと、女性限定のほうが安全であると思った、喫煙習慣者が少なくエチケットが良いと思ったといった声が聞かれます。貸主・管理側がある程度照準を合わせることで、同じ価値観を持った人が集合していることへの信頼性につながるなのではないでしょうか」

今後、「禁煙マンション」を増加させるかどうかは「考察中」というが、隠された需要は申し分なく感じていると高橋氏。「現在は禁煙マンションの存在自体を知らない人が多いケース思うのですが、認識が広がっていけば禁煙を規定に調べる人も広がってくるでしょう」とのことだ。ちなみに、SUUMOでは現在のところ検索条件に「禁煙」という事項はないが、単語検索に「禁煙」と入れてさがすと関東地方で約1600の物件がヒットした。
実際、タバコに関係した隣人トラブルは稀ではない。これまでは吸う人、吸わない人の分煙があまりできていなかった住宅業界だが、こうした「禁煙マンション」は対処方法の一つとえることも考えられます